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粉体の基礎および粉体操作の流れと分類

一般社団法人 日本粉体工業技術協会 副会長 牧野尚夫*


粉体の基礎

 粉体とは、固体粒子の集合体を呼ぶ名称であり、一つ一つの粒子が小さい場合に用いられる。固体は、気体や液体に比べて輸送が困難であるなどの大きなデメリットを持っている。しかし、この固体を粉体にすることにより液中や気体中に浮遊させることができ、固体を気体や液体と同様に扱う事が可能になる。また、粉体にすることにより比表面積を大きくできるため、ガスとの反応や吸着・脱着など表面での諸操作が促進できるという新たなメリットも生じて来る。このような特性から、粉体は「粉体」という用語が定義される以前から、幅広い技術分野で非常に良く用いられてきた。

 粉体の利用を身近なもので考えてみると、まず食物や薬品が挙げられる。小麦粉を例にするとすぐにイメージ出来ると思われるが、固体では食べにくいものを粉体にして食べやすくして、パンやうどんなどに加工するというフローは代表的な粉体プロセスとして挙げる事ができる。他にも、蕎麦、お菓子類、あるいはコナモンと総称される食品類など、ほとんどの食物に粉体が関わっていると言ってよい。また飲料に関しても、コーヒー豆を砕いて抽出する過程などは、シンプルな粉体製造・粉体利用プロセスそのものであり、ビールなど酒類を製造するプロセスでも粉体は様々な形で利用される。薬品に関しては、粉体そのものの状態で服用する薬品を見ている人も多いだろうし、カプセル内部の粒子を見ても、粉体との関りをイメージできると思われる。また、一般の人には馴染みがないかも知れないが、我々が使用している電気の約3割は石炭を燃料にして作られており、その石炭は炭素を主成分とする固体の塊であるため、石炭を扱い易くするための技術としても、粉体プロセスは至るところで活用されている。このように考えてくると、我々の生活において粉体は極めて関わりの深いものであり、粉体技術の適用先は非常に多岐に亘る。その一方で、粉体があまりにも身近に存在しているため、その専門技術としての粉体技術の存在は十分に認識されていないように見受けられる。

 本章では、身近な対象に活用できる粉体技術こそ、多くの方々に認識して頂きたい技術であると共に、有効に活用して欲しい技術であると考え、粉体に関わる様々な操作技術と関連情報を分かりやすくまとめることにしたい。

 固体を粉体にすることで扱い易くすると述べたが、その一方で粉体にすることにより生じる新たな問題点もある。例えば、固体を粉砕して粉体にしても、あまりに細かくし過ぎると逆に粉体粒子同士が付着しやすくなり、空間を多く含んだ凝集塊状になってしまうこともあり、これにより粉体が詰まりやすくなるなどの問題を生じる。また、液体に粉体を混合させようとしても、その表面が液体に馴染みにくい場合があるなど、様々なトラブルを生じる事がある。このように扱いが難しい事から、古より「粉は魔物」などと言われて来た。粉体技術は、まさに粉体の持つ問題点を解決しつつ、粉体の持つメリットを活かせるようにするための技術であり、これらを十分に認識して適切に活用することにより、粉体を自由かつ効率的に扱う事ができるようになる。次節では、様々な粉体操作技術の原理や位置づけを分かりやすく紹介する。


粉体操作の流れと分類

 粉体は様々なプロセスにおいて、種々の形態により利用されるため、そこで用いられる粉体操作技術も多岐に亘り、その組み合わせならびに構成手順にも多くのパターンがある。ここでは、粉体操作技術を上流から下流へと体系的に解説する順番として、代表的な粉体プロセスを「原料」から「粉体を作り」、「必要な粉体を選びあるいは回収し」、「使用し易い条件に調整し」あるいは「新たな粒子へと変化させ」、それを「保管する」という考え方で整理し、このプロセスの順番に応じて、各操作技術を体系的に整理する事を試みた。

 すなわち、まずは必要とする粉体を作るために原料となる固体を保管し、必要量を供給するという「粉体ハンドリング」装置から、粉体を作る「破砕・粉砕」装置に送られる。破砕・粉砕は気体中で行われる乾式と、液体中で行われる湿式とに分けられる。このようにして製造された粉体の回収にあたっては、必要となる物性範囲の粒子を選別して回収する場合は「分級・選別・ふるい分け」装置が用いられる。また、乾式にて生成した粉体のほぼ全量を回収する場合には「集じん」装置が用いられる。

 乾式分級装置や集じん装置などで回収した粉体を液体に混合して利用する場合には、液体への「溶解」操作が必要となる。また、この溶解に関連する技術として、完全に溶け合わない液体同士の混合にあたって、一方の液体を微粒子状にして他方の液体に混合させる「乳化」装置や、液体中に溶解していた溶質が飽和溶解度を越えて粒子化する「晶析」装置などが挙げられる。

 次に、乾式で回収された粉体を利用する技術としては、複数の粉体の「混合」装置や、気体中に浮遊した状態で利用する粉体の上での「分散」装置が重要となる。分散装置には、乾式だけではなく、液体中に粉体が混合している場合に有効な湿式方式もある。なお、これらの混合や分散を促進する上では、「撹拌」装置も重要なものと位置づけられる。
 一方、液体中の粉体を分離・回収する「湿式処理」技術としては、ろ過、圧搾、膜分離などがある。これに関して、粉体というカテゴリーからは異なるものの液中の微粒子という視点では、液中に微細気泡を発生させることにより様々な変化を生じさせる「ファインバブル」技術も進展を見せている。

 湿式で処理調整した粉体粒子を乾燥状態にして利用するためには「乾燥技術」が重要となり、本技術においては効率的に粉体層に熱を与える必要がある。この乾燥技術と同様に、粉体との熱のやり取りが行われるという視点では、逆に粉体から熱を奪う「冷却技術」が関連している。

 粉体の利用にあたっては、粉体そのままの状態で使用するだけではなく、様々な形態に変化させるなどの工夫がなされる。まず、液体や気体に混合し均一分散させる技術として「混錬」や「捏和」が挙げられる。なお、「混錬」と「捏和」の区別は明確でないが、混錬の方が幅広い条件で使用される。また、粉体を集合させて新たな粒子を創出する「造粒」技術、粉体粒子の表面を加工して使用し易くする「コーティング」技術や「表面改質」技術などに加え、製薬分野で主に利用されている技術である粉体集合体を固めるための「成形」技術、「打錠」技術、粒子層を層状に重ねて行く「積層加工」技術なども粉体を様々な分野で利用して行く上で重要な技術となる。

 粉体集合体を成形した後で、高温にして形状の安定化や、新たな特性を発揮させるための「焼成」技術も粉体の取り扱いにおいて重要である。また同様に高温を用いる操作として、粉体状の燃料や廃棄物などを燃焼する「焼却」技術も様々な分野において利用される。

 粉体ならびに成形体を貯蔵や輸送、供給する上では、扱い易いように「包装」する技術や、容器に「充填」する技術、さらには、それらを「計量」する技術の開発が進められている。

 これまで、粉体を作り、必要に応じて選び、粉体性状を調節し、使い易い状態に加工して、保管を行うという、最もシンプルな粉体プロセスの流れに従い、関連する粉体技術の概要を紹介した。もちろん前述したように、状況によって異なるフローを持つ場合も多いし、一部の操作を抜き出して利用するというプロセスが一般的であるが、粉体操作技術の全体を一つのフローにまとめた例として考えて頂くと、粉体操作の一連の流れが良く理解できると思われる。なお、これらの粉体プロセスを、効率よく確実に操作していくためには、装置の諸量を検知し、その工程を制御する「計装」技術が必要となる。また、種々の技術を組み合わせて一連のプラントとするためには「エンジニアリング」技術を駆使しなければならない。さらに粉粒体は、粒子径、密度、形状、表面積、流体中での濃度など、その計測すべき項目も数多く、様々な「粉粒体計測装置」の開発が進められている。
 (「製造プロセスフローシート」図を表示する場合はここをクリックしてください)

個別技術の概要説明
 以下では、上述した粉体操作プロセスの代表的なフローに従い、それを構成する個別技術について、概要を紹介して行く。

1) 粉体ハンドリング
 粉体原料を必要箇所に着実に送り込むためには、粉体を保管する貯槽に始まり、定量的に供給するための装置、供給個所から利用する場所まで輸送する装置などが必要である。また、粉体は飛散し易いので袋などに入れられている事も多く、その解袋操作が必要になる場合もある。これらの操作にあたって、粉体は配管内で凝集し閉塞を起こすこと等もあり、その対策技術なども重要となる。粉体ハンドリングにおいては、これらの個別要素技術だけでなく、円滑な操作に必要な周辺技術を含めて、様々な技術が開発されている。

2) 破砕・粉砕
 破砕・粉砕装置は、固体を砕き粉体にするもので、そのために用いられる力としては、圧縮(押す)、剪断(切る)、衝撃(叩く)、磨砕(擦る)を組み合わせた形で用いられる。粉砕装置は、製品粉体の大きさに対して分類されることが多く、粗粉砕では10㎝クラス、中粉砕では㎜クラス、微粉砕では100μm以下クラス、超微粉砕では10μmクラスとされている。気体中で操作する乾式粉砕と、液体中で操作する湿式粉砕とに分類する場合もある。また、粉体粒子が凝集して塊状になったものを元の粒子に戻す操作は解砕と呼ばれる。

3) 分級・選別・ふるい分け
 分級・選別・ふるい分け操作は、いずれも粉体全体の中から、欲しい性状(粒子径、密度、磁性など)を持つ粉体のみを分離して行くものである。分級とは、これらの性状に応じて何段階かに分類して行く操作を呼び、一般には粒子径によって分級する場合が多い。粒子径による分級には、流体力を用いる方法と、ふるいを用いる方法とがある。それぞれ、気体中で行う乾式法と、液体中で行う湿式法とがある。選別操作あるいは分離・異物除去操作は、高密度粉と低密度粉の選別や、磁性体と反磁性体の分離など、欲しい性状の物質の回収や不用な物質の除去など、性状の異なる二つの粉体群に分離する場合に用いられる。

4) 集じん
 集じんは、気体中に浮遊する粉体を外部に排出せずに分離・回収するための操作であり、気体中において、粒子を気体と異なる動きをさせる事によって分離させる。気体中において粒子に掛かる加速度(重力加速度、遠心加速度)や、粒子が持つ慣性力、気体中での拡散運動、さらには粒子に掛かる静電気力などを用いて分離がなされる。これらの機構は、粒子径が大きくなるほど分離作用が大きくなるもの、または粒子径が小さくなるほど分離作用が大きくなるもののように、粒子径に依存しているため、集じん装置においても、その用いる分離作用によって粒子径と集じん性能の関係が異なるという特性を持つ。

5) 晶析・乳化・溶解
 液体中に溶けている溶質の濃度が、その液体中の飽和溶解濃度を超えた時には、溶けきれない部分が微粒子の結晶となって析出する。このように液体中に粒子を発生させる操作が晶析である。また、水と油のように互いに溶け合わない溶液において、一方の液体が微粒子状になり他方の液体中に含まれた状態をエマルションといい、エマルションを生成する操作を乳化と呼ぶ。一方、晶析とは逆に溶質が液体中に溶ける現象を溶解と呼ぶ。

6) 混合・撹拌・分散
 異なる粉体粒子を混ぜて用いる場合、通常はそれらが均一に混合されることが求められる。もちろん完全な均一混合までも要求されない場合もあるが、ある程度のレベルでは混合がなされる事が必要である。粉体を混合する原理としては、対流混合、拡散混合、剪断混合があり、それらを利用した具体的な混合方式には、容器を回転させる方式、容器は固定し内部の粉体を機械的に撹拌する方式、容器内に下部から気流を入れることで粉体を流動化して混合する方式などがある。また、気体や液体などの流体中に粉体を混合させる場合には、粉体を凝集させずに流体中に分散するための技術が重要となる。また、これらの混合や分散を促進する上で、粉体層や粒子含有流体を撹拌する技術が用いられる事も多い。

7) 湿式処理
 液体中に含まれる粒子を分離すること、粒子濃度を調整することなどの一連の技術は、湿式処理と呼ばれている。湿式処理には、液体中の粒子を、金網や膜などのろ過材で分離するろ過技術、ろ過した粒子状物質中の液体含有量をさらに減少させるための圧搾技術または脱水技術などがあり、ろ過材を用いない方法としては、粒子状物質の沈降速度など流体とは異なる物性を利用して濃厚部と希薄部に分ける濃縮・固液分離技術などがある。また、液体中に泡が生じると様々なトラブルを起こす場合もあるため、それを分離する脱泡技術も重要となっている。

8) ファインバブル
 上述の脱泡技術とは逆に、液体中に極微細な泡(ファインバブル)を積極的に発生させ、その特殊な機能(生物活性化、洗浄や殺菌など)により、様々な産業に役立てる技術も急激に進展している。ファイバブルは、水処理分野、農業分野、食品分野、液晶や半導体などの機能性材料分野をはじめとする多くの分野で注目されている。

9) 乾燥・冷却
 湿式処理した粉体を、乾いた状態で用いる場合には乾燥操作が必要となる。乾燥するためには粉体に熱を与える場合が多く、この熱の与え方によって乾燥技術は分類される。すなわち、加熱気体を粉体に接触させて乾燥させる対流伝熱方式、直接は粉体に気体を接触させず、粉体接触面を高温にし、その熱を伝える伝導伝熱方式、高温に加熱した物体が出す赤外線などの放射線により加熱する輻射伝熱方式などに大別される。さらには、これらを組み合わせた複合方式ならびに、圧力を下げて低い温度でも乾燥できるようにした真空乾燥方式、凍結状態の粉体を乾燥させる真空凍結乾燥方式、超臨界流体を用いて乾燥させる方式など、使用条件に応じて様々な工夫を行った乾燥方式が用いられる。粉体に熱を与える乾燥操作とは逆に、粉体から熱を奪う技術として、冷却操作も検討されている。

10) 混錬・捏和
 混錬は粉体の周りに液体やペーストを混合しながら分散させていく操作で、捏和は、その中で、粒子表面を濡らしつつ高い固体濃度の条件を作る際に用いられる。混錬のメカニズムとしては混合と同様に、対流の利用、拡散の利用、剪断の利用が挙げられ、装置としては容器を回転させる方式、容器は固定し内部のスクリューや撹拌羽根が運動する方式、容器は用いず回転するロール間で混錬させる方式などがある。

11) 造粒・コーティング・表面改質
 粉体の利用に当たっては、元の一次粒子のまま使用するだけではなく、それを基に新たな粒子を製造して用いる場合も多い。そのような際には、造粒・コーティング・表面改質などの技術が用いられる。造粒は、粉体粒子を凝集させるなどにより粒子径の大きな粒子を生成する技術であり、運動している粉体にバインダーを混合させ粒子を成長させていく自足造粒と、造粒させたい粉体に圧密操作などを加える強制造粒とに分けられる。これに対し、コーティングは粉体表面を異なる物質による層で覆うなどにより表面性状を変える操作である。表面改質は、粉体の表面に物理的あるいは化学的な処理を施し、その表面の性質を変えるものであり、コーティングも表面改質の一つの方法である。

12) 成形・打錠
 造粒した粉体を望ましい形に調整することを成形と呼ぶ。成形には、粉体を加圧して行う加圧成形、粉体を液体に混ぜスラリー状にして石膏で作った型枠に入れる事により、液体が石膏に吸収され乾燥状態になった粉体部分が成形される鋳込み成形、スラリーを薄い層状に流しつつ成形していくテープ成形、欲しい形状の口金を持つシリンダから押し出しながら成形する押し出し成形、高速・高圧で金型に射出することで成形する射出成形などがある。なお、薬物分野では、錠剤を製造する際に用いられる加圧成形を打錠と呼んでいる。

13) 積層加工技術
 積層加工技術は、スラリーによるコーティングや、気体中微粒子の沈着などにより、粉体層の薄膜を作っていく操作であり、粉体の持つ機能を部材として発現できるようにする上での重要な操作として注目されている。三次元プリンターなどで、元の形状を薄板の集合体としてデータ化し、粉体、紙などの材料を二次元加工して再現する積層造形法も積層加工の一つの応用事例と考えられる。

14) 焼成・焼却
 粉体集合体において、化学反応や焼結などを目的に、高温で加熱処理することを焼成という。焼成にあたっては、対象に応じて温度、圧力、雰囲気、時間などの条件を調整する必要がある。焼成するための加熱法としては、燃料を燃焼した際に発生する熱を用いる方法と、電気炉など電気エネルギーを用いて加熱する方法とがあり、温度の精密な制御が必要な場合は電気加熱が用いられることが多い。同じように高温を用いる操作として焼却があり、炭素系燃料、廃棄物などを高温で燃焼させ、発生した熱を利用するとともに、固体廃棄物の減容化などに有益となる技術である。

15) 包装・充填・計量
 粉体は飛散し易いなどの課題を有するため、その保管、管理などに関わる技術も重要となる。必要量の粉体を纏めて包装する技術や、粉体を入れたい容器に無駄なく装入する充填技術、またその装入量を正確に把握するための計量技術などの高性能化が進められている。

16) 計装
 粉体は、気体や液体などに比べ複雑な挙動を示すため、その操作プロセスの制御が複雑になると共に、運転に関わる諸量の測定にも困難が伴うものが多い。そのような視点から、粉体操作プロセスの運転状況を的確に検知するため諸量の計測をしつつ、最適条件に調節していくための制御を組み合わせた計装技術の高度化は極めて重要である。また、計測に当たっては、一部の粉体を抜き出して測定する事によって全体を代表する値を検出できるようにすることが多く、そのためのサンプリング技術の重要性が非常に高くなっている。さらに、粉体操作時にはプラント周辺の環境測定なども重要であり、これらの技術の高度化も進められている。

17) エンジニアリング
 ここまで、粉体を扱う様々な操作技術に関して解説を加えて来たが、粉体操作プロセスは一つの操作技術だけで完結するものではなく、ここで述べた全体プロセスフローや、いくつかの操作技術を組み合わせたフローに従い、様々なプロセスフローが利用される。これらにおいて、各構成要素技術を適切に組み合わせ、全体として完成度の高いシステムにしていくためには、エンジニアリング技術が重要となる。また、エンジニアリング技術としての検討に加え、それらを具体的に設置するプラント建設技術や、工場全体としての建設技術へと展開することで、総合的なシステムとして完成させることになる。

18) その他
 粉体操作に関わる装置としては、これまで述べてきた主なフローである、粉を作り、選び(あるいは集め)、性状を調整し、加工して保管するという一連の流れだけでは整理できないものも多い。例えば、リサイクルや殺菌などに関わる技術、粉じん爆発対策など爆発安全技術、分離に利用されるスクリーンや網、集じん機用のろ過布の製造、コンテナや容器に加えて、保温や断熱あるいは防音装置、封じ込め装置など多岐に亘る。これらの技術により、粉体プロセスの利用がさらなる広がりを見せるとともに、利用しやすい技術として発展していく事になる。

 以上、粉体を扱う技術について概要を述べた。それぞれの装置の運転状況監視や性能評価、制御など、あらゆる操作において粉粒体の計測装置が重要となる。粉粒体の計測にあたっては、粉体の粒子径や形状、密度、比表面積など粒子個々の性状測定から、粒子径分布、かさ密度、安息角、付着力など粉体層としての性状測定、さらにはスラリーにした場合の粘度や濃度、粉体の濡れ性や保水性、電気伝導度、熱伝導度、磁気特性など、その測定項目は多岐に亘る。これらの様々な粉体物性などの計測機についても技術革新が進められている。

 また、様々な粉体操作技術を様々な幅広い分野で活用して行く事で、さらに多くの貢献ができるようになると考えている。例えば、2020年を象徴する重大事であるコロナウイルスの世界規模での感染に関して、改めてウイルスの存在が注目されている。このウイルスに加えて細菌や酵母など、いわゆるバイオ粒子と総称される粒子状物質も、その大きさは粉体技術で扱われる粒子径の範囲に含まれている。すなわち、バイオ粒子の制御や利用などにおいても、粉体技術を応用する機会が拡がって来るものと思われる。このように、バイオ粒子を含む新たな数多くの分野に対して、粉体技術の活用範囲を広げて行く事により、さらに多くの技術革新に貢献できるようになる事を願っている。

 粉粒体を操作する各技術の概要と位置づけ、さらにはそれを評価する上での計測技術の役割など、粉体プロセス全体を紹介するとともに、その活用拡大に向けた展望などを述べさせて頂いた。読者各位が、粉体技術を一層有効に活用する上で、少しでもお役に立てば幸甚である。

*一般財団法人電力中央研究所

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